激情一家


ジキタリス、開花♡ 別名キツネノテブクロ、ホックスフェイス。ブリティッシュガーデンを目指すなら、必須アイテムだよね。
今は大好きになったこの花だけど、小さい頃、この花は毒草でコンフリーなどと間違えて食べてしまうと失明してしまうと母ちゃんに聞かされていて、げに恐ろしやと思い、誰かの花壇で見つけても決して近付きはしなかった。
樹と香夏子が小学生のころの通学路にもジキタリスが咲いていた。私から毒草だと聞かされていた2人はやっぱりわざわざ遠巻きにして避けていた。遺伝。



夕べの土ヶ池家はまさに修羅場と化していた。
今朝のパパは落ち込み、香夏子のまぶたは腫れていた。


受験生となった香夏子。勉強をがんばろうとしても、よく眠気に負けてしまう。夕べも何度か声を掛けたけど、夢の中。それに危機感を感じたパパが、何度も注意している香夏子の眠気対策がなっていないこと指摘。それに対しての「はいはい、、、」と言った彼女の力ない返事に、堰が決壊。思いっきり、テーブルを叩き、「そんなことではお前は将来浮浪者になる!」と声を荒げた。
パパが帰る前、香夏子とdoketiが二人で食事中、香夏子が大人になりたくないと言い、将来への不安を吐露していたところだった。
放たれたパトリオットミサイルは目標をロックオン。撃沈。
なんて激情的な寺内カンタロウ一家。
二階に戻った香夏子はドタバタ音をたてながら、大泣きしていた。
何かに当たってるらしい音を自分に対するは抵抗と感じて、初めは目を吊り上げていたパパも程なく、反省顔のこねこちゃん。
小1時間しても泣き止まない香夏子の部屋を覗いてみると、泣きじゃくり過呼吸を起こしていた。口に袋をあてがい呼吸をさせて、なだめすかしてみたが、「悪いのは自分だから」と言って、パパの謝罪を受け入れる様子もなく、自分の腕を掻きむしって、しゃくりあげるだけ。

いたいたしい夕べの空気そのままに、重たい朝がやってきた。こんなドンマイ家族だけど、それがきっといい家族なのだと、未来に気付くのだろうとなんの根拠もなく小さな確信をもっている。