フツーに生きる主婦の秘蜜

朝、山口さんから、電話が来た。むしゃくしゃするから、カラオケに行こうって。
前に、普通の人って、なかなかいないよねぇって、パパと話した。私たちの周りにいる人は、みんな、奮ってる。ずば抜けている。すご過ぎる。そんな中、見事、「フツー大賞」に輝いたのが、善良な主婦山口さんだ。樹は、普通って言われて嬉しい人はいないんじゃない?って言ってたけど、フツーに平凡に生きるって事は、多くの人の願いだし、理想だと思う。フツーに平凡に生きるって言葉に感動して、涙さえこぼれてしまう。「フツー」が、長い間の私の憧れだった。ホントはフツーの人なんてまぼろしだってこと、私だって知っているけど、、、。
みんな、背負いきれない物かかえてる。
カードローン返済のためパートする高瀬さん。
霊視能力に日々悩まされている娘を抱える田代さん。
2人の子供と家を出るためアパートを探している戸川さん。
夫に自殺され、3人の子を女手1つで育てている今井さん。
視力を失った沢田さん。
川原さんは、癌のご主人をささえてる。
高1で未婚の母になった娘と孫を抱えた斉藤さん。
宗教上、離婚できないゾア様。
エトセトラ、エトセトラ、みんな受け入れ難きも受け入れて幸せに暮らしている。少なくとも私にはそう見える。
山口さんもいろいろあるけど、頑張ってるワケサ。きょうは、同い年の2人でいっぱい歌った。2人とも、音痴だと言うこともあって、とても安心だった。時間を忘れて4時間半。山口さんに聞いてみた。
「きょうのカラオケの事、ダンナさんに話す?」
「言わないよ〜。」
やっぱ、働いて疲れて帰ってくる人に、どう思われるかと心配しちゃうんだよね。あのランチ好きの沢田さんもランチ三昧のこと、ダンナさんに秘密にしてるって。
みんな持ってる主婦のささやかな秘蜜。